いろいろなお茶

釜炒り茶の作り方、実は蒸している!今でも多く残る宮崎の味

こんにちは慶です!千利休に憧れます(茶道を全く知りませんが、、)

緑茶が好きになる、あるいは興味を持ったあなたに是非一度飲んでもらいたいお茶があります。
それが【釜炒り茶】です。

緑茶に興味を持つか、宮崎県、熊本県あたりに住んでいなければほぼ人生でお目にかかることはありません。
ところがこの釜炒り茶はお茶を知る、お茶の歴史を知る上では非常に重要な緑茶だと考えています。
なぜなら蒸し製煎茶ができるまで日本の煎茶と言えば釜炒り茶だったからです。

僕はそんなこんなで、宮崎県で有名な釜炒り茶の産地まで訪れました。

今日の悩み 
・釜炒り茶ってどんなお茶?
・作り方はどうなっているの?
・釜炒り茶の魅力はどんなとこ?
・釜炒り茶の淹れ方

釜炒り茶とは

釜炒り茶は緑茶の1種で、釜で炒って作られることからこの名がつきました。
所説ありますが、その作り方は最初に九州に伝わり、後に全国的に広がりました。
江戸時代に蒸し制煎茶が広がるまではこの釜炒り茶が主流だったそうです。

現在は煎茶の生産量の約1%となっておりますが、今でも細々と生産を続けている農家さんはいます。
特に九州で、宮崎県や熊本県には多く残っています。

独特の形をしているぐり茶や玉緑茶と同じ形状

釜炒り茶は【精柔】という煎茶のような形を整える工程がありません。
茶葉は丸まったままで、勾玉のような形をしています。
正式には【釜炒り製玉緑茶】と言われます。

ぐり茶(蒸し製玉緑茶)とは形は似ていますが別のもになります。

ぐり茶というのは、主に佐賀県や長崎県、静岡県で作られているお茶です。
玉緑茶の愛称で知られています。
特に嬉野茶が有名ですね。

釜炒り茶の作り方、実は蒸している!

釜炒り茶は中国式の緑茶の作り方です。
鉄窯を使って火をいれるので、【釜香】と呼ばれる独特の香りがつきます。

釜の形状は傾斜釜と水平釜が存在し、国内に広く伝わったのは水平釜です。
釜温度は摂氏200~300℃の高温です。

これだけの高温で熱を加えられているのにカテキンは大丈夫か?と思われると思いますが、しっかりカテキンは残っています。
その秘密をお話しします。

釜炒り茶は蒸している

釜炒り茶は名前の通り【釜で炒る】という方法で殺青を行いますが、目的は蒸すことです。

殺青とは
摘んですぐの茶葉は酸化酵素の働きによって発酵していきます。
発酵が進むと煎茶などの緑茶にはならないため【殺青】と言って、茶葉に熱をかけることによって発酵を止める工程があります。
日本の煎茶(緑茶)は製造の時に蒸気を吹きかける【蒸す】という方法で殺青を行います。

これが蒸し製と釜炒り製の違いになります。

ところが釜炒り茶も釜炒る方法でありながら同様に蒸されています。

実は、釜炒り茶は鉄窯の熱で茶葉に熱をかけているのではなく、熱をかけることによって茶葉から発生する蒸気で茶葉全体に熱をかけているのです。

 

発生した蒸気は、茶葉を上からかぶせることによって逃げないようにしています。
釜の温度は200~300℃と高温ですが、茶葉の温度は80~90℃ぐらいの間です。
なのでカテキンがなくなることはありません。

本国中国でも同じ作り方をしているので、蒸されていることになります。

柔圧の工程がほとんどない

釜炒り茶は製造するとき、柔圧工程がありません。
煎茶は、粗揉→柔捻→中柔→精柔の順番に柔圧をかけながら乾燥させる工程がありますが、釜炒り茶にはこの工程がほとんどありません。

後程も説明しますが、この柔圧があるかないかで淹れたときのお茶の味わいが全く違ってきます。
釜炒り茶と同じ形をしたぐり茶(蒸し製玉緑茶)がまったく違う味わいなのもそれが理由です。

釜炒り茶の魅力

さて、ちょっと特殊な緑茶の釜炒り茶ですが、ここからは魅力をお話しします。

独特の釜香がくせになる

これはあくまで個人的な意見ですが、僕の中で3大香り緑茶の一つです。
ほうじ茶、玄米茶、そして釜炒り茶です。

釜炒り茶の独特の釜香は他の緑茶では味わうことの出来ない香りです。
緑茶の繊細な中に存在感のある香りは、まるで緑茶が料理されてきたかのようです。

イメージは焼き鳥の炭の香りです。
緑茶を包む少し焦がしたような香りが

淹れるのが難しくない

これもあくまでも個人的な意見ですが、僕の中で3大淹れるのが難しくない緑茶の一つです。
ほうじ茶、玄米茶、そして釜炒り茶です。

独特の釜香を活かすために熱めのお湯を使います。

お茶を淹れる時に難しいのはお湯の温度だと僕は思っていて、この温度の違いでその後の工程に影響が出ます。

ただ、ほうじ茶、玄米茶、そして釜炒り茶は熱めのお湯を使うので、お湯の温度調整をそこまで気にしなくてもよいです。
なので、最初お茶を淹れるのに慣れていない人におすすめします。

釜炒り茶は通である証、一度知れば優越感

先ほども説明しましたが、緑茶の1%未満しか生産されていないのでどこにでもあるわけではありません。
なので一度飲めばあなたも通です。
ただ、今はネットも普及しているので存在さえ知っていれば割と簡単に手に入れることができます。

つまり、存在を知っているということが大切です。

僕が以前宮崎に訪れたときに見学した釜炒り茶の茶園は非常に素敵なところでした。
標高は700m以上、遠くに阿蘇山が見えるという絶景です。
そこの茶園で作っている釜炒り茶がとてもいいお茶だったので紹介しておきます。
興味があったら飲んでみてください。

釜炒り茶の淹れ方と味わいの秘密

釜炒り茶の特徴は何と言っても【釜香】という独特の香りです。
ほうじ茶や玄米茶とは違った香ばしさがやみつきになります。
熱めのお湯で淹れても、煎茶ほど渋くも苦くもなりません。

お茶を飲む人なら一度は通ってほしいお茶です。

釜炒り茶の淹れ方

釜炒り茶は熱湯でさっと淹れるのをお勧めします。
より渋味と苦味を抑えたいのであれば85℃前後でも美味しいです。
香りを効かせるため、温度は高めを意識しましょう。

淹れ方
手順1:急須に茶葉約5g入れます。
目安はカレースプーン1杯分か、急須に入れて広げたときに、急須の底が見えなくなる程度。

手順2:急須にお湯を入れる
沸騰したお湯をそのまま急須に入れるか、沸騰したお湯を一度別の陶器に移してすぐに急須に入れる。
量はマグカップの半分か急須の半分ぐらいの場所まで入れる。

手順3抽出時間は25秒
熱湯を入れた時は25秒、数えてください。
85℃ほどの一冷まししたお湯を入れた時は茶葉が開いたと思ったときぐらいで大丈夫です。
下の写真が丁度開いたぐらいです。

水出しもおススメ

釜炒り茶の水出しもかなり美味しいです!
750~1000mlに約10gの茶葉を入れて冷蔵庫に入れるだけ!
ちなみに僕は500mlのPETボトルに5g入れて作ってました。

専用ボトルも買うもよし、500mlのPETボトルを再利用するもよし!
ただ、PETボトルを使うときは、茶こしを使って注ぐことを忘れずに!

なぜ苦くも渋くもならないのか

釜炒り茶はカテキン、カフェイン共に煎茶と含有量の差はありません。
表向きは釜で炒るという方法ですが、実際利用している熱は茶葉から発生する蒸気であるため、蒸し製とあまり変わらないためです。
ところが熱湯で淹れてもさほど渋くも苦くもならないのです。

実は釜炒り茶の溶出液に秘密があります。

釜炒り茶は溶出された液のカテキン及びカフェイン含有量が煎茶に比べて少ない傾向にあります。
概ね
カテキンが約30%減
カフェインが約20%減
となります。

理由は、製造工程に柔圧されることがほとんどないためです。
化学的根拠は説明できませんが、多くの実験結果から立証されています。

カテキンとカフェインはお茶の味に大きく影響しているため、溶出量が減ったことにより渋くも苦くもならないのです。

お茶の渋みを抑える理由として、ペクチンという物質の増加があります。
これは蒸時間が長くなるなどの条件にって発生するのですが、ペクチン含量も煎茶と同等です。
この理由からも、カテキンとカフェインの溶出量が少ないことがわかります。

カテキンを摂取するため茶葉は食べましょう

上記でも説明しました通り、釜炒り茶のカテキンの溶出量は煎茶に比べて少ないです。
つまり、煎茶と同じように飲むだけだと、煎茶よりもカテキンの摂取量が少ないことになります。

ですが心配はいりません。
茶葉を食べてしまえばなんの問題もありません。

茶葉を食べたことはありますか?
お茶を淹れた後、急須に残る茶葉はなるべく食べることをおススメします。

煎茶(緑茶)に含まれる緑茶カテキンは淹れたお茶には全体の約40%しか溶出しません。
つまり急須に残った茶葉に60%ほどの緑茶カテキンが残っていることになります。

何煎も淹れることで徐々に溶出させることはできますが、それでも100%溶出させることは不可能ですし、煎茶はどんなにいいお茶でも5煎~6煎ぐらいが限界だと思われます。
したがって、無理に淹れるより食べたほうが早いのです。

終わりに

いかがでしたか?
これは個人的なことですが、僕が緑茶に関して2番目に感動したのがこの釜炒り茶でした。
単純に味わいに感動したのです。
今日は個人的なことばかり話していますね(笑)

釜炒り茶の効能については煎茶と同じで、カテキンがとれることが主です。
なので煎茶の代わりに釜炒り茶にしてもよいと思います。