コラム

お茶を飲むとコロナにかからないのか

去年の11月ぐらいに、奈良医大がお茶の成分がコロナウイルスを不活性化させることを確認したというニュースが話題になりましたね。

https://www.sankei.com/smp/west/news/201127/wst2011270045-s1.html 産経新聞ニュース

お茶がコロナに効くという事実に業界の人も追い風が吹いてくれることを期待したのではないかと思いますし、普段からお茶を愛飲している人たちにも安心感を与えてくれました。

ただ、気を付けなければならないことがあります。
確かにお茶の成分は有効ではありますが、それだけを過信してしまうのはとても危険です。
今日はコラムということで逆に注意点やこの記事をどうとらえるべきなのかを私の視点でお話しします。

ウィルスに有効であることと感染しないことは別

お茶がコロナウイルスを不活性化するという事実は存在し、人の健康に関与をしてくれることには大きな期待が持てます。

これは間違いありません。

お茶の成分であるカテキンやサポニン、紅茶であればテアフラビンなど昔から風邪やインフルエンザ予防に効果があると言われてきました。

インフルエンザウィルスと同じ特徴を持つ新型コロナウィルスにもカテキンは有効であるのではないかと、コロナが流行り出したころから言われていたので、そのことを再確認できた感じでもあります。

ただ一つ注意しておかなければならないのは、だからと言ってお茶だけを飲んでいればいいという思い込みをしてはいけないということです。

私自身医学関係の人間でもなければ大学で化学を学んだ人間でもないので詳しいことはわかりませんが、専門家の知人によれば

「カテキンやテアフラビンがコロナウィルスを不活性化した事実はあくまでも試験管内の話であり、人の体内での有効性となれば話は別」

だそうです。

シンプルに説明をすると、実験では試験管の中にコロナウィルスを入れて、そこにカテキンなどの成分溶液を加えて不活性化するかどうかをみます。
つまり、カテキンなどの有効成分が確実にコロナウィルスをとらえることが出来る条件の下、確認を行っています。

しかし、人の体内において確実にカテキンにコロナウィルスをとらえさせることができるかと言えばそうではありません。

何が言いたいかというと、この情報を知ってお茶さえ飲んでいればコロナにかからないという結論に至ってしまうのは危険であるということです。

ニュースなどで、ある食品に含まれるある成分がコロナ感染対策に有効と流れれば次の日にはその食品がスーパーなどから姿を消すという現象はよくあることです。

去年も一時、うがい薬が市場から消えましたね。

こういう情報に流されるのは時間がもったいないですし、その上コロナ感染をしてしまったら、自身にかかるストレスは計り知れません。

コロナに感染しないのはお茶だけの力ではない

とはいえお茶の成分がコロナウィルスに有効に働いてくれるのは事実であり、飲まないよりは飲んだ方が圧倒的にいいです。
なのでお茶がお好きであれば、あるいは何か予防策を模索しているのであればお茶はおススメです。

ちなみにここでいう【お茶】とは、【緑茶】【紅茶】です。

ただお茶の業界で仕事をしている私がこんなことを言うのも変な話ですが、お茶がコロナ対策の一つでしかないということをあなたにも知っておいてほしいと思います。

コロナの感染予防に大切なのは、栄養価の高いバランスのとれた食事やよい生活習慣です。
その食事には多くの野菜や納豆、ヨーグルトなどの発酵食品、ビタミンを多く含む果物などたくさんの種類が必要です。

ここでは詳しく書きませんが、免疫力というのは本来いろいろな作用の相乗効果でより大きくなります。

お茶のカテキンも乳酸菌との相性がよく、一緒に摂取するとより効果を発揮します。
下の記事で詳しく説明しておりますのでお時間よろしければ是非一読ください。

https://k-tea-net.com/2020/05/31/%e7%b7%91%e8%8c%b6%e3%81%a7%e5%85%8d%e7%96%ab%e5%8a%9b%e3%82%92%e4%b8%8a%e3%81%92%e3%82%88%e3%81%86/



ちなみに私自身も対策として食事には気を使っております。
お茶の業界で仕事をしている人間なので、当然お茶を飲みますし、
その他に発酵食品や蜂蜜なども食べます。普段は野菜などを多めに自炊をするようにもなりました。
料理はあまり得意ではありませんが、野菜を多く食べるようになってから身体の調子がいいです。
一応今のところはコロナに感染しておりません。

お茶は一つの選択肢  最後に

去年新型コロナが流行し始めた4月、5月というのは新茶が市場に出回る、お茶業界にとっては一年で一番盛り上がる時期でした。
それぞれの農家が丹精込めて育てたお茶が、一番いい形で消費者に届く最高の時期です。

ところがその時期に外出自粛要請や緊急事態宣言などが発令され、市場に出回ったお茶は売れず、市場に出回る事すらできなかったお茶が数えきれないほどありました。

そんな状況の中、お茶屋さんは是が非でもお茶が売りたい、だからコロナに有効であったり、免疫力の向上などの言葉と共に宣伝をしていました。
お茶業界は今でも厳しい状況が続き、店を閉めたところも少なくありません。
何かいい案はないかと、日々頭を悩ませているところです。

ただ、お茶を飲むかどうかは消費者、つまりあなたの選択次第です。
正直お茶を飲まなくてもコロナの対策はできます。
コロナウィルスに有効な成分がカテキンやテアフラビンだけではないからです。

そしてなにより、コロナに感染しないために大切なことがそのような有効成分を摂取することだけではありません。
しっかりと栄養の取れる食事を心がけ、夜更かしせず、運動の習慣もつくる。
よく笑うことも効果があります。

この成分が有効だからそればかりを食べる、飲むということをしがちな人があまりにも多いです。
しかし、感染予防や対策は1日、2日でできるようなものではありません。
日々のよい習慣を続けてこれた人が本当の意味で予防や対策が出来ているということになる思います。

ワクチンの開発も進んでいますが、もうしばらくは息苦しい生活が続きそうです。
そんな中でも、この記事を読んでくれたあなたには体調だけは崩さず健康でいてほしいと思います。

できることはバランスの良い食事やよい生活習慣、そして笑顔。
そんな生活の中で予防としてお茶を選んでくれるなら、私たちお茶業界の人間は喜びます。