先日、新宿高島屋の【味百選】という催事で僕はお茶を売っていました。
僕の師匠のお手伝いという形でその場所にいたのですが、コロナの影響で訪れる人は少なかったです。
ただ、その分来てくれる人との会話をゆっくりすることができたのも事実。
僕にとってはすごく勉強になった一週間だったと思います。
その中でも一番考えさせられたことが一つあります。
それが
【いいお茶とはどんなお茶なのか】ということです。
来てくれたお客さんの中に、お茶があんまり飲めないという人がいました。
いったいどういうことなのか、、、
いいお茶にもいろいろな観点があると思います。
例えば日本茶アワードなどのコンテストの優勝茶。
うま味が多い、色がいい、形が整っている。
審査項目をクリアし見事優勝したお茶はいいお茶で間違いないでしょう。
じゃあもう一つの観点、オーガニックや自然に育てられたお茶はどうでしょう。
自家製のものと言えばイメージがつくでしょうか?
お金もかけず、手間暇かけて育てられたお茶です。
うま味も強くない、緑色をしていない、形は不ぞろい、、
でもこれもまぎれもなくいいお茶なのです。
【味百選】に参加するまでの僕もそうでした。
いいお茶とは前者のことだと思っていました。おそらく多くの人もそう思っていると思います。
しっかりお金をかけて管理された、味も、見た目も、香りもよいものこそ高級煎茶であり、いいお茶である。お茶屋さんで買うにふさわしいものであると。
でも実際はどうなのでしょうね。
ここからは僕の一意見としてみてください。
お茶があんまり飲めないと言ったお客さん、あるいはそれ以前にも「今のお茶は喉がつまって飲みにく」と言ったお客さんがなぜそうなるのか、
それはいいお茶がいいお茶ではないからだと、僕の師匠が教えてくれました。
はっきり言います。いいお茶とは、人の身体になじむお茶のことを言います。
多くの人が思ういいお茶、うま味が強くて見た目のいいお茶、このお茶は長く飲み続けることが出来ません。
お茶が飲めなくなるなんて想像もつかないかもしれませんが、事実です。
これは僕も経験したことです、突然お茶が嫌になったとか大げさなものではないですが、なんとなく飲まなくなった時期があり、飲みつかれると思ったことが何度かありました。
そして思い出せば、オーガニックだったり、お金のかかっていないお茶は味こそ高級ではないですが、ずっと飲み続けられたことを思い出しました。
このお金がかかっていないというのは、化学肥料や農薬が一切使われていないものを言います。
この表現が正しいかどうかわかりませんが、あっさりしているというのがいいのではないかと思います。
コンテストのお茶や、お金のかかったお茶は育てられたお茶ではなく、作られたお茶であると思います。
造られたと表現してもいいかもしれません。
この件に関しては思うところがたくさんありますが、長くなるので今日は控えますが、
本当に美味しいお茶は毎日飲みたくなるし、淹れて飲んでまた淹れたくなるお茶なのです。
どれだけ飲んでも飲みつかれないというところもあります。
どうしてお茶が売れない世の中になったのか、それはお茶を毎日飲むものだということを忘れてしまったからだと思います。
うま味がしっかりあって、見た目もいいお茶。お客様に出しても恥ずかしくないお茶。
そんな高級なものは毎日飲むものではないと、いつからかイメージとして出来上がったのではないかと僕は思います。
そして、うま味が強くてこってりしたお茶は喉につまる。
そんなお茶が毎日飲みたいわけがない、そう思うのです。
PETボトルのお茶がこんなに売れるのは手軽だからではなくあっさりして飲みやすいから、がぶがぶ飲めるからです。
これがもしうま味がしっかりあって、こってりしているお茶だったら、、、売れないです。間違いなく。
日本人はお茶が好きです。
お茶という言葉を知らない人はいない。
そんな人たちが毎日飲むお茶はしっかり身体になじむお茶です。
国内にはそんな身体にやさしいお茶を育てる人がいます。
僕はそんな人たちのお茶を、これからも飲み続けたいです。
いいお茶とは?僕が思うに
山畑 慶
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