お茶を飲んだ方がいい本当の理由とは何でしょうか。
近年は世界的にお茶ブームとなり、日本文化の素晴らしさという観点の他にも、健康であったり、禅や瞑想といった精神性に関わるものなど様々です。
しかし、お茶を飲むべき理由とはこれ以外に全く違う理由があります。
飲むだけではなく、お茶を淹れることにも同じ意味があります。
今日の話は、私がお茶のプロたちから聞いたお茶を淹れる理由のお話です。
この理由とは、一度体験すれば理解できると同時に、その気持ちが忘れられなくなります。
その体験とは、お茶を淹れ、お茶を飲むという体験です。
これからあなたもお茶を嗜むとき、心の片隅に今日の話を置いておいてほしいと願っております。
お茶が持つ本当の力とは 繋がり である
日本茶は古くから私たちと深くかかわりを持ってきました。
「日常茶飯事」や「茶々を入れる」言葉にも多く出てくるほど身近なものです。
そんなお茶を、お茶屋さんで一度飲んでみていただきたいのです。
お店で飲んだいっぱい1200円のお茶から
私が以前働いていたとあるお茶屋さんに、お客として訪れたときの話です。
そのお店は目の前でお茶を淹れてくれるタイプのお店でした。
いっぱいのお茶を、淹れていただいて飲む。
そのお茶の味がとても美味しく心を満たしてくれるものでした。
料理やお酒などもお客さんの目の前でやってくれるところはあります。
しかし、料理やお酒とは違う感動がお茶にはあるのです。
実は、お茶にはテアニンというリラックス効果のある成分が含まれています。
このリラックス効果により、脳が休まり心に余裕も生まれてきます。
科学的な要因も相まってのことだと思いますが、お茶を一口飲むと【はぁ】と
力が抜ける心地よさを感じることが出来るのです。
不思議なことに、人に淹れてもらうお茶であれば、たいていの場合はこのような反応になります。
「おいしいですね」から始まる会話
そして、力の抜ける心地よさから【おいしい】という言葉が出てくれば、そこから繋がりが生まれます。
おいしいという言葉をきっかけに会話が始まると、なぜか話が弾み止まらなくなるのです。
立場の違いも、国境もなく、ただお茶を楽しむもの同士が語りあう、一杯のお茶がそんなきっかけになってくれます。
お茶を淹れる仕事をする人は、みな繋がりという言葉口にします。
私にお茶を教えてくれた方々もみな口を揃えて、お茶が人と人とをつなぐとおっしゃっておりました。
そして、健康のためではなく、禅や瞑想のためではなく、人と人との繋がりを絶やさないためにお茶を淹れると教えていただきました。
その時だけの、一瞬だけの繋がりであろうと、忘れることのない出会いになるのだと。
不思議なことに、お茶を通して知り合ったり会話した人、その時のことはなぜか忘れることがないのです。

人と人を繋ぐは茶道の原点にも
いっぱいのお茶は人と人とを繋ぐ、とても暖かいきっかけです。
かつて千利休が一畳半という小さな部屋でお茶を振舞ったのは有名な話です。
千利休の美学が凝縮されたその一畳半は人と人とを繋ぐ、それ以外のなにものでもありませんでした。
どれだけ位が高かろうとも、同じ目線の高さでお茶を飲む。
人と人とが同じレベルで繋がる、他にはない方法であったと思われます。
時代は違えど、人と人とを繋ぐことが難しかった時代に千利休は茶道という方法でそれを実現しようとしたのではないでしょうか。
今の時代だからこそお茶は必要
現代はSNSが普及し、人と人とがつながっているようで実はつながりが薄いのではないかと感じることがあります。
人々は仕事に追われ、時間に追われ、深呼吸をすることもままならない世の中です。
お茶を飲みながらゆっくり会話するということも減ってきているように思います。
また、物騒な世の中であり、人が簡単に人を信用してはいけないとまで言われるようになっています。
より繋がりを阻害される、本当に難しい世の中になったと感じます。
しかし、そんな時代だからこそお茶をきっかけに人と人とのつながりを作っていきたいと強く思います。
こんな言い方をするのはよくないかもしれませんが、【お茶を嗜む人に悪い人はいない】私は心からそう感じます。
そして、日々忙しい毎日だからこそあえて一杯のお茶を淹れる時間を無理やり作ることも必要なのかもしれません。
ゆったりとした時間の中で、ゆっくりお茶を飲みながら会話する。
そんな日々を過ごしてみてはいかがでしょうか。
健康のためではなく、心を満たしてくれもの

お茶は健康にいいとされる優れた飲み物になります。
しかし、健康よりも何よりも、人の心を満たしてくれるものです。
人の心を満たし、人と人とをつないでくれる、そんな素晴らしいものが世の中にどれだけありますでしょうか。
あったとしても、お茶ほど身近にはなかなか見つからないと思います。
あなたもどうか、ご家族やご友人に一杯のお茶を淹れて差し上げてください。
広告

コメント