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食中毒にならないために必要なこと

先日、京都で病院職員8人がサルモネラ菌による食中毒で入院した事件がありました。
昨今テイクアウトのサービスを始める飲食店が増え、食への取り組みが急激な変化を見せています。
密になる機会を減らすための取り組みとして効果がある反面、これからのシーズンは食中毒がかなり気になるところです。

飲食店側の対策については消費者が関与できないので、実際防ぎようがないです、、

とは言え実際ビビっていてもどうしようもないので、以前食品会社で品質管理課で微生物汚染について研究していた経験を基に、食中毒についてと家庭でやるべき食中毒対策についてお話しします。

今日の流れ 
まずは食中毒への関心を持つ
     ↓
食中毒の脅威、実態を知る
     ↓
食中毒の発生源や防ぐための意識を持つ
     ↓
家庭での対策法を知る

食中毒への関心を持つ

微生物による食中毒の厄介さは、微生物が目に見えないがゆえに原因が特定しづらい点にあります。
そして何より、微生物を0にすることが不可能であるということです。

僕が以前品質管理課で微生物試験を担当していた時も、微生物にはかなり頭を抱えていました。
たとえ衛生管理が行き届いた工場であったとしても、微生物の発生をゼロにすることは概ね不可能ですし、トラブルが発生した時は原因究明には非常に時間がかかっていました。

まず知ってほしいのは、微生物ってすごく身近で、どこにでも存在するんだということです。
つまり、地球上に生きている限り僕たちは常に微生物つ一緒に過ごしているということになります。

そしてその微生物の中に、食中毒菌と言われる微生物の原因菌も含まれています。

先日群馬県前橋市では「食の安全」テイクアウト講演会というものが開催され、食の安全への取り組みの強化を図ったものです。
こういうのが非常に大切で、一度こういった話を聞くだけでも店側はかなり気が引き締められます。

テイクアウトでコロナの感染を防止する、これは非常に有効だと考えられる中、気温も高くなってきた世間では食中毒防止への配慮も十分にしてもらわないと、コロナと食中毒のダブルパンチは厳しいですからね。

食中毒の脅威と実態

微生物による食中毒には少なからず命の危険があります。

微生物による食中毒は感染型と毒素型の二つが存在します。

感染型:腸内あるいは食品中で食中毒の原因となる微生物が
    増殖することで発症
毒素型:腸内あるいは食品中で原因となる微生物が毒素を産出して
    発症します。

はし先をお肉につけただけで発症する

少し怖い話をします。
下の写真は微生物を増殖させて目視できる状態にしたものです。
円形のものはシャーレと呼ばれ、直径約8㎝ほどです。
白い点が微生物の固まりにで、大きさは数㎜にも満たないものがあります。

微生物は目に見えな存在であり、今も僕たちの周りに浮遊しています。
常に触っているし、常に口にも入ってきています。
そんな微生物がこの写真のように目視で確認できるようになるには、何十億という菌が固まりになる必要があります。

しかし、食中毒の発症に必要な菌数はったの数百程度。
これは食中毒菌に汚染されたお肉にはし先をちょんとつけた程度の数。
当然目には見えませんし、はし先に変化なんてありません。

この程度の菌数で食中毒になってしまいます。

2011年4月、石川県の焼肉屋さんでO-111の食中毒が起こり、5人が亡くなった事件を覚えていますか?

当時お客やユッケを食べて発症しましたが、そのユッケが普段食べるサイズだと考えると、恐ろしい数の食中毒の原因微生物を食べたことになります。

食中毒で命を落とすリスクは

食中毒で命を落とす条件
1、高濃度で発症する
2、子供やお年寄り、疾患などで免疫力が低いとき

食中毒は原因菌や菌の毒素によって胃腸が炎症を起こしたり、神経障害を起こしたりします。
ほとんどの場合、炎症が長く続き、嘔吐や下痢の症状でおさまりますが、まれに毒素が腸から吸収され血液と共に体内に回ります。
それが脳に届いた時、脳死状態を引き起こし、これがいわゆる命を落とすということになります。

これは、毒性の高い食中毒菌又は毒素を高濃度で飲み込んだからです。

上で説明したユッケに関しては、O-111の固まりを食べたことになります。
非常に恐ろしいです。

今回のケースでは、残念ながら防ぐことは難しいですが、普段から高濃度で口にすることはめったにありません。
食中毒の知識をしっかり持ち、防ぐための意識さえ忘れなければ命を落とすことはありません。

一つだけ覚えておいてほしいこと、食中毒菌は弱い

微生物が目に見えなくて恐ろしいですが、実際はかなり弱い存在であるとういうことです。
例えば多くの微生物は加熱したら死滅します。
調理の時に失火り火を通すことが出来れば食中毒になることはありません。

次からお話しすることを守っていれば怖がることはありませんよ。

食中毒を防ぐための意識

食中毒を防ぐためにどうすればいいのか、その性質を知る事や意識付けをすることで多くの場合は防ぐことができます。

食材を無菌状態にするのは不可能

食中毒を防ぐために知っておいてほしいことが、

食品を無菌状態にすることは不可能であり、
食中毒を防ぐには、菌を増やさないことが大切である

ということです。

僕は以前食品会社で品質管理課の微生物部門で働いていたことがあります。
おそらく皆さんも一度は飲んだことがある飲料を作っていました。

僕が扱っていた食品は加工食品であり、当然工場内は厳密な管理の下で製造が行われています。
数か月に一度外部の専門機関の定期審査が入ることもあり、かなり精密な管理下に置かれていました。

ところがそんな工場で製造した食品にも微生物が混入してしまうのです。

つまり、先ほどもお話しした通り微生物をゼロにすることは不可能ですし、洗ったり調理しても空気中にいる微生物がまた付着してしまうということです。

じゃあ生鮮食品なんて微生物だらけじゃん

その通りです。
生鮮食品は微生物だらけです。
しかし、実際微生物と言ってもすべてが悪さをするわけではなく、あくまでも【食中毒菌】というものが危ないだけでそれ以外は特に問題ないです。

そしてその【食中毒菌】というのは、特定の場所以外ではほとんど検出がされません。
なのでそこまで神経質になる必要はありません。
意識してほしいことは、

・生肉や生魚の調理のときはしっかり火を通すこと
・生野菜や果物はしっかり洗うこと

食品意外ではどこにいるのか

食中毒において気を付けるべきなのは食品だけではありません。
食中毒菌がいる環境についてもしっかり把握して、防げるところは防ぎましょう。

食中毒菌がよくいる場所は
・湿気のある汚い場所(溝やどぶなど)
・動物の糞便
・生ごみなど衛生的に悪いもの又は衛星的に悪い場所

以前食品会社に勤めているときに大腸菌群の検出実験を行いましたが、毎日掃除されているトイレでは検出されなかったりと、意外な結果もありました。

ただ、逆に検出された意外な場所だとシンクです。
普段料理をして生ごみなどが発生します。
シンクの掃除は定期的に行わなければ大腸菌群や食中毒菌が増殖してしまう可能性があります。

つまり、目に見えて汚いところを触ったりしないことと
トイレやシンクは定期的に掃除をする
これだけでも結構防ぐことができます。
 
あとは動物です。
動物を触った後はしっかり手を洗いましょう。
これだけでは守ってください。

食中毒にならないために

さてここから対策についてお話しします。

手洗い

手を洗うことは食中毒を防ぐ一番の基本です。
手を洗うだけでもかなり防ぐことができます。
外から帰ってきた後、何かを食べる前、動物を触ったら
もちろん料理をするときも必須です。

ただし、手洗いはあまりしすぎもよくありません。
理由は
・手の常在菌が減りすぎると健康でいられない
・洗いすぎによる手荒れが逆に雑菌を増やす

手には常在菌という有益な微生物がいます。
これらがいることで悪い微生物を退治してくれたりします。
また、手を洗いすぎると乾燥します。
乾燥による手荒れも悪い微生物を増やすことにつながりますので気を付けましょう。

 手洗いの手順についてはこちら

水気を残さない

例えばお皿を洗った後濡れたまま放置をすることや、テーブルなどをこまめに拭きすぎるなど、水分を保った状態というのは微生物が繁殖するのでよくありません。

微生物は水分がある程度存在しないと増殖できないので、乾かすということが食中毒防止にもつながります。

生肉、生魚の調理時、しっかり火を通す

生肉、生魚には食中毒菌が100%付着している考えてください。

鶏肉:カンピロバクター
牛肉:O-157,O-111
豚肉:サルモネラ
魚類:腸炎ビブリオ

これらの食中毒菌はしっかり火を通せば問題はありません。
特に食中毒菌は筋肉内部には存在しないので、肉も表面がしっかり焼けていれば問題ないとされています。

ただし、表面に隙間や細かい凹凸があるようならしっかり火を通してください。
その他、ミンチ肉は必ず内部に火が通っていることを確認すること、焼肉のホルモンもよく焼く事を徹底してください。

生食用のお肉のリスク

今はそこまで多くないですが、以前までは生レバーやユッケなどどこの焼肉屋さんでも当たり前のように置いておりました。

ユッケは、肉の塊の表面をそぎ落とし、中の無菌状態の部分を食べます。
その間、そぎ落としに使用した包丁は一回一回新しい物に変えるという非常に手間のかかることをします。

しかし、ここまで厳密に管理されたとしても食中毒のリスクは3割程度あると言われています。

なので、そもそも生食の肉は危険なものであると認識しておいた方がよいです。

本記事でも書きました、生鮮食品の無菌化は不可能なので、消費者である僕らがしっかり理解して向き合う必要があります。

まな板を分ける

これもよく言われることですが、お肉やお魚用のまな板と野菜や果物用のまな板は分けましょう。
まな板にある細かい傷に微生物が入り込んでいることがあるため、少し手間ではありますが徹底した方がよいです。

調理したものはその日中に食べる

家庭で食中毒が起こる原因で大きなものがこれです。
よくありがちなのが朝仕事に出る時に作ったものを、テーブルに置いていて昼頃食べるみたいなことです。
これははできるだけ避けてください。

家で調理したものは加工食品とは違い、添加物などが一切使われていません。
つまり、火を通したとしても空気中に浮遊している微生物が大量に付着している状態になります。

微生物には世代時間と言って、増殖するのにかかる時間があります。
詳しく説明すると、例えば10個の微生物が一時間で増殖すると20個になります。この20個に増えるまでの時間を世代時間と言います。
早いもので数十分、遅いもので数時間かかります。
付着した時は数十個ほどだったとしても、数時間立てば数えきれないほどの数字になります。

なので調理したものはその日ちゅう、そしてなるべく早く食べるようにしてください。

体調で食中毒を防ぐ

食中毒は体調管理をしっかりすることで防ぐことも緩和することもできます。
食中毒の原因微生物を食べたとしても、健康であり免疫が低下していなければ発症を抑えることもできます。

唾液

唾液には強い殺菌効果があります。
唾液はよく噛むことで多く分泌量が増えます。
食事の時はよく噛んで、しっかり味わうようにして食べましょう。
唾液の殺菌について興味深いことが書いてあります。
興味ある方はどうぞ。

胃液

食中毒の原因微生物の多くは酸に弱いので、胃酸によって退治されます。
胃はストレスに弱い臓器です。
ストレスによる消化不良を起こさないためにも、普段の生活でしっかり心身共に健康体でいましょう。

腸内細菌(ビフィズス菌)

腸内細菌が食中毒の原因微生物を腸管内に侵入することを防いだり、体外へ排出したりするの助けます。

お茶がすべてを解決してくれる

当サイトはお茶の専門サイトなので、最後にお茶についてもお話しさせてください。

緑茶カテキンの抗菌作用が食中毒にかなり有用です。
例えば、O-157などの殺菌や毒素の抗毒素作用に加え、ビフィズス菌などの活性化など食中毒を備えるための機能が揃ってます。

さらに、緑茶に含まれるうま味は唾液の分泌を促すこと。
そのうま味成分であるテアニンにはリラックス効果がありストレスを緩和します。

さらに免疫力の向上にも大きくサポートしてくれます。
なんとも魔法のようなお話しですがこれは現実です。

心身を健康に保つために毎日お茶を飲むことを推奨します。
もしお茶を飲むなら一緒にヨーグルトを食べてください。
免疫力向上の方法に困っている人は一度試してみてください!

免疫について詳しく知りたい方は下記のページへどうぞ!

https://k-tea-net.com/2020/05/31/%e7%b7%91%e8%8c%b6%e3%81%a7%e5%85%8d%e7%96%ab%e5%8a%9b%e3%82%92%e4%b8%8a%e3%81%92%e3%82%88%e3%81%86/