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釜炒り茶は日本茶じゃない?釜炒り茶はどんなお茶?食事にも合ういいお茶

釜炒り茶ってどんなお茶?

誰もがそう思うと思います。

釜炒り茶は緑茶です!

現在国内での生産量はわずか0.8%ほどと非常に少なく、生産を行っている地域も限られているため出会うのが難しいお茶になります。
つまり、釜炒り茶という名前を聞いただけでもすごいことなのです。

その名の通り釜でお茶を炒ることで作られる緑茶のことです。
どんなお茶なの?お茶なのに炒るの?おいしいの?全部お答えします。

生産量は全体の1%未満となり、緑茶に興味を持つか宮崎県、熊本県あたりに住んでいなければお目にかかることは難しいと思います。

ちなみに宮崎県で有名な釜炒り茶の産地に伺ったことがあります。
とてもきれいな場所でした

宮崎県高千穂町のお茶園 釜炒り茶や和紅茶を生産している

今日のお話

・釜炒り茶とは
・釜炒り茶の作り方、実は蒸している!
・釜炒り茶の特徴
・釜炒り茶の淹れ方

日本の蒸し制緑茶の原点でありながら今は生産量が1%にも満たないという幻のお茶です。
せっかく出会えたのですから、この記事をご覧いただいて魅力を感じられましたら、早速飲んでみてください。
それでは行って見ましょう。

目次

釜炒り茶とは

釜炒り茶は緑茶の1種

釜で炒って作られることからこの名がつきました。
所説ありますが、その製法は中国より九州に伝わり、後に全国的に広がりました。
伝わった時代は1406年から1504年と100年にも及ぶ長い期間の中ですが、多くの諸説が残っています。

江戸時代に蒸し制煎茶が広がるまではこの釜炒り茶が主流だったそうです。

現在は煎茶の生産量の約1%となっておりますが、今でも細々と生産を続けている農家さんはいます。
特に九州に多く残っていて、宮崎県の五ヶ瀬や高千穂、熊本県が主な生産地になります。

独特の形をしているぐり茶や玉緑茶と同じ形状

釜炒り茶は【精柔】という煎茶のような形を整える工程がありません。
茶葉は丸まったままで、勾玉のような形をしています。
正式には【釜炒り製玉緑茶】と言われます。

ぐり茶(蒸し製玉緑茶)とは形は似ていますが別のもになります。
ぐり茶というのは、主に佐賀県や長崎県、静岡県で作られているお茶です。
玉緑茶の愛称で知られています。
特に佐賀県の嬉野茶が有名です。

釜炒り茶の作り方、実は蒸している!

釜炒り茶は中国式の緑茶の作り方です。
鉄窯を使ってお茶に火をいれるので、【釜香】と呼ばれる独特の香りがつきます。

釜炒りに茶に使用する釜

形状

傾斜窯:釜を傾斜させて固定した釜
水平釜:釜を水平において使用する釜

釜の形状は傾斜釜と水平釜が存在し、国内に広く伝わったのは水平釜です。
釜温度は摂氏200~300℃の高温です。

傾斜窯

東京都茶共同組合

傾斜窯は釜の面積が広く、一度に大量の茶葉を処理することが出来ます。
その代わり、設置面積が広くそれなりのスペースが必要になります。

水平釜

高千穂町観光協会

水平釜は設置面積があまり必要なく、小スペースで作業することが可能です。
その代わりに、一度に処理できる茶葉の量は少なくなります。

この他にも、生産量の多い茶園などであれば専用の大型の製茶機が導入されています。


これだけの高温で熱を加えられていますがカテキンなどの栄養成分はしっかりと残すことが出来ます。
その秘密をお話しします。

釜炒り茶は蒸している

釜炒り茶は名前の通り【釜で炒る】という方法で殺青を行いますが、目的は蒸すことです。

殺青とは

茶葉を摘んですぐに熱を加え、酵素による酸化を止める工程

摘んですぐの茶葉は酸化酵素の働きによって酸化発酵をしていきます。
発酵が進むと煎茶などの緑茶にはならず、ウーロン茶紅茶に変わっていきます。
そこで、お茶の発酵をとめるため【殺青】という工程を挟みます。
【殺青】茶葉に熱をかけることによって酸化酵素を破壊し発酵を止める工程になります。
日本の煎茶(緑茶)は製造の時に蒸気を吹きかける【蒸す】という方法で殺青を行います。

これが蒸し製と釜炒り製の違いになります。


実は釜炒りも蒸されている

ところが釜炒り茶も釜で炒る方法でありながら同様に蒸されています。

実は、釜炒り茶は鉄窯の熱で茶葉に熱をかけているのではなく、熱をかけることによって茶葉から発生する蒸気で茶葉全体に熱をかけているのです。

発生した蒸気は、茶葉を上からかぶせることによって逃げないようにしています。
釜の温度は200~300℃と高温ですが、茶葉の温度は80~90℃ぐらいの間です。
なのでカテキンがなくなることはありません。

柔圧の工程がほとんどない

釜炒り茶は製造するとき、柔圧工程がありません。
煎茶は、粗揉→柔捻→中柔→精柔の順番に柔圧をかけながら乾燥させる工程がありますが、釜炒り茶にはこの工程がほとんどありません。

この柔圧があるかないかで淹れたときのお茶の味わいが全く違ってきます。
釜炒り茶と同じ形をしたぐり茶(蒸し製玉緑茶)がまったく違う味わいなのもそれが理由です。

釜炒り茶の特徴

釜炒り茶は緑茶の中でも類を見ないほど特徴的です。
その特徴は歴史や製造工程のみならず風味や淹れ方にも表れています。
ここからはそんな釜炒り茶の特徴を紹介していきます。

独特の釜香がくせになる

緑茶の中で香りに特徴があるのはほうじ茶、玄米茶、そして釜炒り茶です。

釜炒り茶の独特の釜香は他の緑茶では味わうことの出来ない香りです。
一見香ばしい釜香ですが、飲み進めると清涼感が顔お出すなんとも言えない癖になるお茶です。

宮崎県など生産している地域では鍋料理などに合わせるそうです。
食事にもよく合うので毎日のお茶におすすめです。

熱湯を使って淹れることもできる

ほうじ茶、玄米茶と同様に熱湯を使って淹れることのできるお茶になります。
煎茶と同じ感覚で飲めるお茶ですが、独特の釜香を活かすために熱めのお湯を使います。

お茶を淹れる時に最初に壁になるお湯の温度管理、それをあまり必要としない釜炒り茶は手軽に飲めるお茶でもあります。
もちろんお湯につけっぱなしにすると苦味は出ますが、その苦みも煎茶と比較すると軽いです。

釜炒り茶は苦くも渋くもなりにくい

釜炒り茶は熱湯で淹れても煎茶ほど苦く渋くなりません

理由

製造工程に柔圧されることがほとんどないためです

煎茶は揉むという柔圧工程により、成分が抽出しやすいと言われております。
しかし、釜炒り茶には揉むという柔圧工程がありません。(柔なぜ柔圧を加えると成分が抽出しやすいか化学的根拠はわかっておりませんが、多くの実験結果から立証されています)
釜炒り茶には柔圧工程がないことにより、成分抽出の割合が煎茶よりも低いということになります。
よってカテキン、カフェインの抽出量が低いという結果になります。

カテキンとカフェインはお茶の味に大きく影響しているため、溶出量が減ったことにより渋くも苦くもならないのです。

釜炒り茶のカテキン及びカフェインの減少量

カテキンが約30%減
カフェインが約20%減

ちなみに釜炒り茶はカテキン、カフェイン共に煎茶と含有量の差はありません。
表向きは釜で炒るという方法ですが、実際利用している熱は茶葉から発生する蒸気であるため、蒸し製とあまり変わらないためです。

ペクチンの働きもしっかりあります

お茶の渋みを抑える成分として、ペクチンという物質があります。
煎茶に多く含まれ、血中コレステロールを低下させることで注目されているこの成分は釜炒り茶にも含まれます。
カテキンとカフェインと同様に溶出量は減りますがしっかりと渋味を抑えてくれます。

釜炒り茶は通である証、一度知れば優越感

先ほども説明しましたが、緑茶の1%未満しか生産されていないのでどこにでもあるわけではありません。

そのため、釜炒り茶を一度飲めばあなたも通です。

今はネットも普及しているので存在さえ知っていれば簡単に手に入れることができます。

つまり、存在を知っているということが大切です。

私が以前宮崎に訪れたときに見学させていただいた釜炒り茶の茶園は非常に素敵なところでした。
標高は700m以上、遠くに阿蘇山が見えるという絶景です。
そこの茶園で作っている釜炒り茶がとてもいいお茶だったので紹介しておきます。
興味があったら飲んでみてください。

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釜炒り茶の淹れ方

釜炒り茶の特徴は製法からくる【釜香】という独特の香りです。
ほうじ茶や玄米茶とは違った香ばしさがやみつきになります。
熱めのお湯で淹れても、煎茶ほど渋くも苦くもなりません。

お茶を飲む人なら一度は通ってほしいお茶です。

釜炒り茶の淹れ方

釜炒り茶は熱湯でさっと淹れるのをお勧めします。
より渋味と苦味を抑えたいのであれば85℃前後でも美味しいです。
香りを効かせるため、温度は高めを意識しましょう。

淹れ方
手順1:急須に茶葉約5g入れます。
目安はカレースプーン1杯分か、急須に入れて広げたときに、急須の底が見えなくなる程度。

手順2:急須にお湯を入れる
沸騰したお湯をそのまま急須に入れるか、沸騰したお湯を一度別の陶器に移してすぐに急須に入れる。
量はマグカップの半分か急須の半分ぐらいの場所まで入れる。

手順3抽出時間は25秒
熱湯を入れた時は25秒、数えてください。
85℃ほどの一冷まししたお湯を入れた時は茶葉が開いたと思ったときぐらいで大丈夫です。
その場合は時間にしておよそ45秒~1分ほどです
下の写真が丁度開いたぐらいです。


水出しもおススメ

釜炒り茶の水出しもお勧めです。
750~1000mlに約10gの茶葉を入れて冷蔵庫に入れ一晩おくだけです。
水出し冷茶で摂取できるカテキンは腸内で働き、免疫力向上にも役立つので毎日の健康にも効果的です。

カテキンを摂取するため茶葉は食べましょう

釜炒り茶のカテキンの溶出量は煎茶に比べて少ないです。
煎茶と同じ量を飲んでも煎茶よりもカテキンの摂取量が少なくなってしまいます。

抽出されないカテキンはどうすればよいのか、一つは2煎目、3煎目と淹れていけばある程度抽出されます。
もう一つの方法として茶葉を食べるという方法があります。

茶葉を食べたことはありますか?
お茶を淹れた後、急須に残る茶葉は食べることができます。

実は煎茶(緑茶)に含まれる緑茶カテキン及び栄養成分は、淹れたお茶内に全体の約40%しか溶出されません。
つまり急須に残った茶葉に60%ほどの栄養成分がが残っていることになります。

何煎も淹れることで徐々に溶出させることはできますが、それでも残念ながら100%溶出させることは難しいですし、煎茶はどんなにいいお茶でも5煎~6煎ぐらいが限界だと思われます。
したがって、無理に淹れるより食べたほうが早いのです。

食べ方

急須から取り除いた茶葉をそのままポン酢などをかけて食べると美味しいです。
その他は、あえ物など少し味が付けば食べることができます。

イメージとしてはゆでたほうれん草のような感じです。
茶葉にはベータカロテンなど抽出されない栄養成分もいくつか存在します。

興味のある方は是非一度食べてみてください。

茶葉を食べることもっと詳しくは

終わりに

いかがでしたか。
釜炒り茶はとても魅力的なお茶です。
一度飲むとその味と香りに感動します。
食事にもよく合うお茶なので、毎日のお茶にもとてもお勧めです。

釜炒り茶の効能については煎茶と同じで、カテキンがとれることが主です。
煎茶より抽出量は減りますが、健康のために飲む場合も十分な量の摂取が可能ではあります。
釜炒り茶は茶葉もおいしいので興味があれば食べてみてください。

いろいろなお茶を飲んで、素敵なティーライフをお送りください。

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