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火入れとは何か、狭山火入れとは、伝統の火入れ技術は幻の技術とかす

【色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす】
日本三大銘茶の一つ【狭山茶】ご存知でしょうか。
この狭山茶の特徴と言えば『狭山火入れ』と呼ばれる有名な火入れがあります。
実はこの火入れに関して、現在あまり多く残っていない技術であるというのです。

私が狭山に訪れた際に知った狭山火入れの真実、今日はその秘密についてお話しします。

目次

火入れとは何か

味を決める最後の仕上げ、お茶屋ごとに違う芸術

火入れとは

お茶を仕上げる際に火を入れて、お茶の香りを引き立たせる。
お茶屋さんごとに火入れの強さや長さが違い、味や香りを作り出す。

火入れは製茶工場でできた荒茶をお茶屋が仕入れ、最後の仕上げとして香りづけをする作業です。
この火入れの程度によってお茶屋さんごとに味や香りが変わり、それぞれの風味を演出します。

荒茶とは

製茶工場で乾燥工程が終わった後、卸売市場に出荷されるための状態のお茶。
荒茶は各お茶屋さんや問屋さんが仕入れ、火入れや再加工を行い、商品へと作り上げていく。
チョコレートで言うと、クーベルチュールのような状態である。

地域ごとに変わる火入れの文化

火入れはお茶の技術で最も経験の必要な作業の一つです。
一歩間違えればお茶の香りは簡単に飛んでしまうため、熟練の技術力が必要になるのは想像に難くありません。
お茶の香りを守ために、静岡県の駿河の地域では火入れをしないところまで存在します。

そんな火入れをより強く施したお茶を作る地域が埼玉県の狭山茶です

お茶の香りをしっかり残しながら、甘さを最大限まで引き出す火入れは他の地域を圧倒します。
北限のお茶とまで言われるほど冬は厳しい気候にさらされるお茶は、葉肉が厚く、しっかりと風味を蓄えます。
そのしっかりとしたお茶の葉故に、強い火にも耐えられるのでしょう。

何故狭山は火入れが強いのか 輸入のための工程であった

歴史上必要だった火入れ技術

かつて日本茶が盛んに輸出されていた頃、関東付近のお茶は横浜港から海外に出ていく際に一度狭山に集められました。
そして、狭山の地で火入れを行い、輸出されていきました。

当時は船便が主流で、長いと数か月もかけて輸出先の国へ到着します。
その間、茶の品質を保持するためにとられた方法が火入れを強くするというものでした。

ここで生まれたのが【狭山火入れ】という技術です。

【狭山火入れ】とは、歴史上必要になって生まれた火入れの仕方だということがわかります。

葉肉の厚さから香りが抜けきらない奇跡

狭山茶の特徴として葉肉が厚いことがあげられます。
葉肉が厚いと渋味が強く、犬猿され来た歴史がありますが、狭山の地域は火入れによって克服しました。

強く火を入れても香りが抜けきらない丈夫なお茶

歴史上必要に駆られて生まれた技術も、現在は地域の味を守る技術に生まれ変わっています。
狭山茶は他の地域に類を見ない、香ばしさの中にちゃんと茶本来の香りがする独特のお茶が存在します。

現在は幻と化している狭山火入れの技術

狭山火入れは技術力を要する

火入れは少し間違えるとお茶の香りを消してしまうほど難しい技術です。
【狭山火入れ】はその技術力の高さに、現在は伝統の強さで火入れをするところがあまり残ってないようです。

それでも狭山のお茶は特徴がある

狭山茶の特徴は葉肉が厚いことで生まれるしっかりとした【滋味】です。
どっしりとしていて、飲みごたえのあるお茶です。

私が狭山を訪れたとき、とあるお茶屋さんでほぼ火入れのない狭山茶を飲ませてもらいました。
火入れの強さで有名な狭山で、火入れをほとんどしないお茶があることに驚きましたが、その店の店主が「火入れがなくてもすごく狭山の特徴が出ているんだ」と語っていました。

味わいはとても前述した通り、どっしりとしていて飲みごたえがあります。
葉肉の厚さで渋味が強いですが、意外なことに香りが繊細で、思ったより甘味が強いのです。
火を入れない分香ばしさがありませんが、確かに他の地域では味わったことのない風味でした。
それはまさしくお茶自身が持つ特徴でした。

それでも狭山火入れを探したい

もともと特徴のあるお茶を栽培している地域である狭山ですが、やはり伝統の【狭山火入れ】を施したお茶は各別です。
今でこそ少なくなった【狭山火入れ】ですが、当時は狭山全体が行っていたこのに対して数が減ったというだけで、探せば見つかります。

日本三大銘茶の名に恥じない狭山は、火入れも火入れなしも両方で戦える地域でした。


終わりに

いかがでしたでしょうか。
【狭山火入れ】とは何か、知っていただけたかと思います。
この話を聞いた時、正直僕もびっくりしました。
実際火入れの強いお茶を探して狭山の地域に行きましたが、狭山火入れという名前を使って、火入れのも多様化していました。

調べた結果、かつて海外に輸出されていた時のような強い火入れを表現することは難しいそうです。
それでも【狭山火入れ】は他の地域より強く火入れをしているため、伝統の強火とあれば火入れ香りがしっかりあるお茶であることは間違いないです。

火入れの強い【狭山茶】、これからも残り続けてほしいと個人的に思います。

それではよいティーライフを。

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